Favorite Girl – Aaron Abernathy 歌詞の和訳と紹介

Aaron Abernathy ヘビーなベース x ポップなストリングス

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「ヘイ、ママ。あなたがマイフェイバリットガールだ。」

サウンドについて
こんなにすごいミュージシャンが出てきたのは久しぶりかもしれない。D’angeloが好きな人は好きなじゃないかと思います!グルーヴィなビート、複雑に重なるコーラスの完成度が高すぎる。D’angeloと比較するなら、楽曲構成はD’angeloの方がポップ、サウンドはAaron Abernathyの方がポップだ。イントロは少し飛び道具的だが、面白い(サビのバッキングと同様のフレーズではあるが)。ピアノやストリングス、シンセの裏メロなどで、ポップで美しい雰囲気を作りだして、8小節目でブレイク → ギターが16分スクウェアのジャジーなフィルイン・フレーズを弾いて、ディープなソウルミュージックへと引き込んでいく。

歌詞について
ママ賛歌。素敵な家庭で育ったんだろうな〜。日本人には中々書けない歌詞だと思う。「ママ」を「フェイバリット・ガール」なんていう表現がアメリカン・クールなセンスだ。日本人の近年のポップスなら「ありがとう」みたいな直接的な表現になりそう。気の利いたところでも、婉曲的なエピソードとかになりそう。洋楽を聞けて英語ならではの言葉を聞けると嬉しいですよね。

それでは和訳をどうぞ。

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I’d Do It All Again – Corinne Bailey Rae 歌詞の和訳と紹介

Corinne Bailey Rae  “Like A Star” のアンサーソング ?

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「私はもう一度やり直すだろう。」

サウンドについて
曲の始まり方と終わり方が “Like A Star” と似ている。ギターのアルペジオも何となく思い出させるし、曲の初めの音(キーの4度=ドがキーならファ)が曲の始まりとしては不思議 → 何かしら前の文脈を引き継いでいるように感じさせられる。あと全然違うんだけど、何故かJeff Backley のカヴァーした The Smiths の名曲 “I Know It’s Over” を思い出した。興味のある方は是非。(私はThe Smithsのファンです。笑)

歌詞について
注目したいのはサビの直前。”Someone to love is bigger than ~” と表面的には愛の素晴らしさを語っている文章だが、 “than” 以降 = “〜よりも” の部分に意識が向いてしまって、愛の苦しさを語っているように思える。そしてサビの “I’d do it all again = (それでも)私はやり直すだろう” の重みが増している。サビ終盤のキャンドルの箇所だが、火をつけるのではなく、燃やし切ってしまう的なニュアンスがさらに引き立てている。曲を書いたのは旦那さんの生前、大ゲンカした時だったらしいけど、今どういう気持ちで歌っているんだろう。喧嘩といえば “Like A Star(歌詞はこちら)” で “We do it all the time” 、文脈を踏まえて訳すと “いつもあなたとだけは喧嘩してしまう” と歌っている。言い回しも少し似ている。なんか繋がった(笑)

それでは和訳をどうぞ。

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Breathless – Corinne Bailey Rae 歌詞の和訳と紹介

Corinne Bailey Rae コードの響きが美しいバラード

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「あなたに名前を呼ばれると息ができなくなる」

サウンドについて
バースの4小節区切りの進行 Ⅱ♭M7 → IM7 はシンプルかつお洒落なので大好き。サビの二つ目のコードもマイナー感の漂う響きでとてもよい。こういう音を使う最近のミュージシャン、あまり知らない。あとCメロでベースとドラムが急に音を切ってグルーヴィーになるのも好き。

歌詞について
コリーヌって強がりだよなあっていつも思う。”I want you to be mine” ってなる前に、いろいろ考えちゃう感じが魅力的であり、めんどくさくもあり..? サビの3行目に関して一つだけ補足。”特別な力” と訳したが、元の歌詞は “chemistry, energy, a synchronicity” と歌っている。めっちゃ意訳すると、「相性バツグン!」って感じです。

それでは和訳をどうぞ。

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Horse Print Dress – Corinne Bailey Rae 歌詞の和訳と紹介

Corinne Bailey Rae プリンス風の煌びやかなポップソング

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「あなたの愛にくすぐられてる。」

サウンドについて
コリーヌは暗い曲(というより深い?)が多い一方で、案外キラキラした音が好きな印象がある。それはプリンスが好きなことが影響しているのだろうか。プリンスの “I Wanna Be Your Lover” のカヴァーもしてるコリーヌだが、この曲のサウンドもとてもプリンス的だ。スキマの空いたビート上に、人間味のある歌声、その裏で高めで耳障りのいい音色のキラキラした裏メロがたくさん散りばめられている。アウトロの16分のベターっとしたギターカッティングはプリンスが “Sexy M.F.”などで用いたカッティングパターンだ。

歌詞について
タイトルの”Horse Print Dress” がどんなドレスかは画像検索すればわかるけど、どんな意味があるんだろう?可愛いってだけだろうか?この曲の舞台は部屋、それもベッドの近くだけだ。それなのにバースで描かれる風景はとてもステキだ。

それでは和訳をどうぞ。

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Paris Nights / New York Mornings – Corinne Bailey Rae 歌詞の和訳を紹介

Corinne Bailey Rae キュートなポップロックチューン

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「愛で満たされた夜に思い切り飛び込もう。」

サウンドについて
ラフなギターカッティングとオルガンから始まるのこ曲、ビートも古いロックを感じさせるラフなビートだ。ブラックミュージック感を強く感じるコリーヌだが、こういうところでイギリス人だなあと思わされる。ちなみにコリーヌはLed Zeppelinのファン。Bメロで “天国への階段” のギターリフをサンプリングしている。

歌詞について
初めの言葉が “Breakfast at Mickey’s“、「ティファニーで朝食を」のもじりから始まるキュートなラブソングだ。曲中に2回登場する雨の中の描写は「ティファニーで朝食を」のラストシーンとかけているのだろう。コリーヌの凄さは名詞力だと思っているが、この曲ではキュートで煌びやかな方向に振り切れている。数多くの名詞で雰囲気を作り上げて、粋な言い回しを引き立てているように感じる。語るとキリがなくなるけれど、一つだけ補足を。二行目に、”Elbows on the greasy table cloth(油っぽいテーブルクロスに肘をついて) ” とあるが、これは”Elobow greas(力仕事)” という成句を長くした言葉遊びだ。

それでは和訳をどうぞ。

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Closer – Corinne-Bailey-Rae 歌詞の和訳と紹介

Corinne Bailey Rae スクウェアの16分が気持ちいいR&Bチューン。

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「あなたに近づきたい。」

サウンドについて
コード進行もリズムパターン全く変わらない。本当に音数とメロディ、歌い方だけで展開が生まれている。もっとも注目したいのは、思わず体を動かしてしまうグルーヴだ。イントロのギターカッティングから気持ちのいいリズムだ。8拍目の裏に必ず置かれるアクセントもよい。

歌詞について
束縛したい気持ちと、自由にさせたい気持ちという矛盾を抱えるのが恋だ。どうするのが正解なのかはわからないが、「近づきたい」「もっと近づきたい」という気持ちだけは本物だろう。

それでは和訳をどうぞ。

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Trouble Sleeping – Corinne Bailey Rae 歌詞の和訳と紹介

Corrine Bailey Rae , 70年代の女性シンガーを思い出させるノリのよいバラード

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「恋に落ちたなんて言わないわ。」

サウンドについて
ノリのいいサウンドなので、とても聴きやすい。キャロルキングやカーペンターズを思い出すようなサビのメロディだ。コード進行の変化はほとんどない。循環している進行の後半IM7→I6がいい味を出している(6thの音はサビメロの最終音だ)。サビメロのノリの良さの秘密はメロディの区切り方にもあると思う。音階が上がってから下がるまで,休符が入るまでを一つのブロックとしてみると、サビの構成は0.5小節→0.5小節→1小節→2小節を2回繰り返す構成になっている。前半が小刻みで、徐々に長くなっているので、最後の2小節もノリのよいテンポに聴こえる。(もちろん裏拍とかもあるけど)

歌詞について
恋に落ちたことを決して認めたくないといった歌詞だ。Cメロの感じだと、恋で傷つくのが怖くて臆病になっている歌だろうか。2番のバース、必要なのはセラピーや薬だと言っているのに、本当に必要だと思っているのは好きな人なんだろうなって思わせるから文章は面白い。「〇〇だけ」みたいに、必要以上に極端な断言は強がり→本心じゃないと思わせる表現だ。

それでは和訳をどうぞ。

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Like a Star – Corinne-bailey-rae 和訳と紹介

Corinne Bailey Rae 切なさと困惑を感じるラブソング。

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「あなたは夜空を横切る流れ星のよう」

サウンドについて
どうしてこんなに悲しいサウンドなんだろう。切なさにしては暗すぎる。重たすぎるベースの音色、マイナーキーのコード進行、感情のこもった歌声、、。アコギ、ストリングス、コーラス、アコギ単音、オルガン、、とサウンドが次々入れ替わり、静かなバースを挟んでから、最後に大きく盛り上がるのがとてもいい。

歌詞について
「切なさ」というより「困惑」の方が近いのかもしれない。「あなたとだけ喧嘩してしまう」「あなたにだけ心を許してしまう」ことの理由がわからないと歌い、最も静かなバースで、その理由がわかったと歌い上げる。愛しているとはハッキリ言葉にしないが。初めと終わりで歌われる歌詞も気に入っている。愛しい人を例える中で、「夜空の流れ星」「本の中の天使」「心に流れる歌」に並べて「手にこびりついた油」が入っている。ファンタジーのような言葉に続けて、①現実的な言葉 ②洗っても取れない ③汚い≒素敵なだけじゃない、そんな言葉が出てくるところが面白い。自分の感情に対して、すぐに「恋」という周りから得た正解に飛びつかずに、自分の価値観で向き合ったからこそ出てくる言葉だろう。しかし、コリーヌは恋愛感情にマイナスのイメージを持っているのだろうか?

それでは和訳をどうぞ。

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September – Kirk Franklin 和訳と紹介

Kirk FranklinがEarth,Wind,And Fire の名曲をゴルペルカヴァー

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「辛い季節でも “セプテンバー” を思い出してほしい」

サウンドについて
Earth,Wind,And Fireの名曲をカヴァー。ちゃっかりサンプリングもしている。ゴスペルサウンドが良いのはもちろんだが、1,2番のサビのアレンジに注目したい。サビの直前、男声のメロに女声のコーラスが加わり、管楽器のオブリまで入り、素晴らしい盛り上がりを見せるが、直後のサビの音は薄い。メロは女声の単音、ギターの高音の16分刻みは消えて、ストリングスと丸い音色のシンセによって引き伸ばされたような印象のサウンドが堪らなくお洒落だ。

歌詞について
サウンドだけでなく、歌詞もゴスペルアレンジされている。曲中で使われる “セプテンバー” は「喜びの季節」のメタファーであり、二つの使い方がなされている。一つは必ず巡ってくる季節として。もう一つは過去の救われた瞬間として。未来と過去、衝突しそうな使われ方だが、一つの言葉に複数の意味を持たせて重なる曖昧な部分を伝えることは詩のテクニックの一つだ。

それでは和訳をどうぞ。

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Lean On Me – Kirk Franklin 和訳と紹介

多くの有名シンガーが参加したKirk Franklinの名曲。

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「私が側にいる。頼っていいんだよ。」

サウンドについて
“We Are The World”のような楽曲だ。様々なミュージシャンが集まって歌うバラード。”We Are The World” と違ってBメロなどで進行が大きく変わることがないので、胸になじみやすい曲構成だと思う。リードシンガーの声を引き立たせるためか、コーラスはリバーブが特に深くかけられて、ずっと後ろに引っ込んで聞こえるが、大サビでのコーラス隊は圧巻だ。

歌詞について
やはり”We Are The World”のように、大きなテーマの社会問題を歌っている。Aメロでは苦しみを抱えた男性・女性・子供を客観的に描写することで、心に訴えかけるような問題提起になっている。サビとCメロで上手にメッセージを伝えられるように組み立てられているとも言えるだろう。

それでは和訳をどうぞ。

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