It’s You – ZAYN 和訳と紹介

ZAYN (ex. One Direction) がバラードを発表。シンプルなビートと壮大なアレンジが美しい。

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「君を神の恵みだと思っていたけど、今じゃ呪いみたいだ」

サウンドについて
ソロとしてのリリースは二曲目となるZAYN。シンプルなビートとストリングス、深いリバーブのかかったヴォーカルから始まるこの曲。サビでピアノがガツンと入るのを皮切りに、徐々に伴奏の音数が増えていき、壮大な展開を作り出している。トラックも美しいが、メロディとファルセットヴォイスが美しすぎる。サビはまるでヴァイオリンの演奏を聴いているようだ。Cメロではピアノの美しい裏メロも聴くことができる。

歌詞について
ZAYNは以前、この曲は「関係が終わった時のことを歌った」と語っていたという。そのインタビュー通り、歌詞は失恋について書かれている。癒えない傷を隠すこともしないまま、その気持ちを美しく歌い上げる。彼のアーティストとしての評価を高めて、アルバムのリリースが楽しみになってくる一曲だ。

それでは和訳をどうぞ。

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カテゴリー ZAYN

Just the Two of Us – Grover Washington Jr 和訳と紹介

Grover Washington Jrが作ったスムース・ジャズの礎。

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「君を思うとクリスタルの雨粒が心に虹を創る。」

サウンドについて
80年代、音楽の発展とともにジャンルの境目がなくなっていった。その中でJazz、Fusion、R&Bの垣根を取り払ったようなジャンルがスムース・ジャズである。そしてその起源とも言われる楽曲が “Just the Two of Us” だ。ⅣM7 – Ⅲ7 – Ⅵm7 は王道のコード進行だが、たまに “Two of Us進行” と呼ばれるほど、この曲の持つ力は大きい。 Bill Withers の独特な声質の甘い歌と Grover Washington Jr のサックスプレイに是非耳を傾けてほしい。

歌詞について
歌詞も曲調と非常にマッチしている。冒頭の “クリスタルの雨が降る” を初めとして、現実を圧倒的に輝かせた描写、比喩が多い。現実感が希薄になるほど美しい表現は、愛の美しさや力を見事に描写している。愛は雨粒をクリスタルに変えて虹を創り、空に城を建てることさえ可能にする。同じくR&Bのスタンダードである “Feel Like Makin’ Love” は歌詞の構成は似ているが現実的な描写が多い。非現実的な描写は男性的なボーカルに非常にマッチするのだ。

それでは和訳をどうぞ。

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Feel Like Makin’ Love – Roberta Flack 和訳と紹介

多くのミュージシャンにカヴァーされるRoberta Flackのソウル・R&Bスタンダード曲。

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「例えば季節の移ろいを感じたとき。愛し合いたくなるの。」

サウンドについて
“Feel Like Makin’ Love” は多くのミュージシャンに愛されている名曲だ。構成や進行はとても素朴だが、上品で普遍的。Bob James, Marlena Shaw, George Benson, D’angelo …、数えきれないほどのカヴァーがあるが、個人的には Marlena Shaw の “Who Is This Bitch, Anyway?” に収録されているバージョンをオススメしたい。参加ミュージシャンは全員超豪華なのだが、特に Davit T. Walker と Larry Carlton によるギタープレイは全ギタリスト必聴だ。

歌詞について
歌詞はロマンチックだが曲同様に素朴だ。ヴァースは美しい情景描写、サビは “そんな時に、あなたと愛し合いたくなる” と歌う非常に美しい構成。今聴くと少し古いような感じもするが、その色褪せた感じも非常にロマンチックだ。同じくR&Bのスタンダードである “Just the Two of Us” に歌詞の構成が似ているが、この曲は非現実的な描写が一切ない。現実的な情景を美しく表現するのは女性的なボーカルの方が向いているのだろう。

それでは和訳をどうぞ。

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If You Want Me To Stay – Sly & The Family Stone 和訳と紹介

1960年代から現在でも影響を与え続けるSly & The Family Stoneの代表曲。ファンク・セッション定番曲。

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「もし居てほしいなら、今日はお前から見えるところに。」

サウンドについて
1960年代後半にデビューした Sly & The Family Stone が1973年にリリースした楽曲。Sly Stone のソウルフルなヴォーカルはもちろん、この曲のベースラインは多くのミュージシャンに影響を与えています。メロディもコードも4小節を繰り返ししているだけの構成ですが、退屈な瞬間が一つもないのがすごいですね。

歌詞について
恋人の元を去る男の歌です。終始ハードボイルドな世界観です。歌い出しから四小節の歌詞がクールすぎますね。 “Number one gonna be number one” という言い回しもとても好きです。

それでは和訳をどうぞ。

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Higher – Rihanna 和訳と紹介

Rihannaのソウルフルな歌がストリングスと籠ったピアノに映える。 “ANTI” からオールドスクールのソウルミュージック。

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「お酒と一緒に、口にしづらい言葉も飲み込んでしまおう。」

サウンドについて
60年代にタイムスリップしたみたいだ。 “Higher” はアレサ・フランクリンが歌っていても違和感がなさそうなソウル・バラード。ボーカルと周波数帯域を完全に外した籠った音作りのピアノとベース、ストリングスがフィーチャーされた歌を聴かせるためのシンプルなアレンジだ。右側に大きく振られていて、全く目立たない音作りで隠し味のように用いられているドラムも面白い。

歌詞について
この曲では好きな人とお酒を飲んでいるが、恋が成就するか不安な心境を歌っている。自分の振る舞いに不安を抱くほどすっかり酔っているが、気持ちを口にするのが難しくて、お酒と一緒に飲み込んでしまう。もどかしさを上手に表した素敵な表現だろう。

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Three Packs A Day – Courtney Barnett 和訳と紹介

グラミー新人賞にノミネート。オルタナティヴ・ロックの新星Courtney Barnettのアコースティックソング。

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「インスタント麺が大好きなの。」

サウンドについて
筆者は80-90年代のオルタナティヴ・ロックやインディー・ロックと言われる音楽にドハマリしてそれしか聴かなかった時期もあるほど好きなのだが、この曲 “Three Packs A Day” は完璧にオルタナのフィーリングを受け継いでいる。シンプルなコード、アコースティックギターのバッキングが主体のサウンドで曲が進む中、サビで突然登場するメジャーともマイナーとも取れない音階のキメフレーズ。これだよ!と口から溢れてしまった。オルタナファン必聴だ。

歌詞について
歌詞はインスタントのミーゴレン(焼きそばのような東南アジア料理)が大好きという内容。友達とのディナーを断って、安っぽくて添加物の入っているそれを一日三食食べるという歌だ。大好きなんだからいいじゃないという歌詞は逆に皮肉ともとれるが、、。

それでは和訳をどうぞ。

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Love on the Brain – Rihanna 和訳と紹介

Rihanna “ANTI”から、オールドスタイルのソウル・R&B風楽曲。ハチロクのビート、オルガン、ソウルフルなボーカル。

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「アザができるほど苦しいけど、最高なのよ。」

サウンドについて
“Love on the Brain” はイントロから古い雰囲気を放っている。大太鼓、トレモロのかかった枯れたギターアルペジオ、オルガン。サビのコーラス隊の入り方もオールディーズ音楽を連想させ、全体に深いリバーブがかかったサウンドはノスタルジーな気分にさせる。そしてそのサウンドにハマるのはソウルフルな歌だ。ヴァースはファルセット中心、サビでは地声が多く力強い歌声と歌い分けに魅せられる。

歌詞について
この曲はまだ実っていない恋の歌だ。 “ANTI” からはこれまで3曲和訳したが、どれも少しマゾヒスティックを感じる。片思いが苦しくて、しかしステキな気分にさせることは大いにわかるのだが。恋や愛の苦しい部分をありのままに生々しく表現できるのが彼女の歌詞の魅力なのかもしれない。

それでは和訳をどうぞ。

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Kiss It Better – Rihanna 和訳と紹介

Rihannaのアルバム “ANTI” で最もメロウなラブソング。イントロのギターリフが色っぽい。

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「キスで謝ってよ。一晩中ずっと。」

サウンドについて
Rihannaが2016年早々にリリースした “ANTI” 。実験的であったり、凝ったサウンドが多く見られるアルバムだが、 “Kiss It Better” はグッドメロディの王道ポップスだ。他にも歌ものは、アルバム終盤に “Love on the Brain” から三曲ほどソウル風の楽曲が続くが、前半のハイライトは “Kiss It Better” だろう。イントロのギターリフが色っぽい。

歌詞について
“I’ll kiss it better” は “痛いの痛いの飛んでけ” のように使われる。キスで治すという意味だ。この曲は喧嘩した恋人に対して、一晩中キスをして謝ってほしいとせがんでいる。”willing to do” とはしても構わないというくらい消極的なOKである。強気だが一歩身を引いていて、甘えている女性像にセクシーさを感じる歌詞だ。

それでは和訳をどうぞ。

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PILLOWTALK – ZAYN 和訳と紹介

One Directionを脱退したZAYNが遂に新曲 “PILLOWTALK”を発表。 “ありのままで淫ら” がテーマのサウンドとリリック。

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「とても純粋で、とても汚くて、生々しい。」

サウンドについて
2015年にOne Directionを脱退したZAYNが一年後に発表したシングル曲。そのサウンドはOne Directionの頃と比べて大人っぽいものとなっている。この曲の大きな特徴はポップス系のサウンドというところだろう。セクシーな曲なのに、わかりやすいポップさを保てている。One Directionの曲を “バカみたいに一般的で恥ずかしい” と語っていたZAYN。彼もこの曲には満足しているのではないだろうか。

歌詞について
“PILLOWTALK” とは寝室での会話のこと。この曲では、二人はベッドに乗り込んで愛し合っている。この歌詞を読んだとき、ヘルマン・ヘッセのデミアンを思い出した。光と闇、キツく優しく、苦しみと喜び、純粋で生々しくて、楽園と戦場。相反する二つの概念をひたすら対比している。愛とは、その二つを同時に成立させることができるものなのかもしれない。

それでは和訳をどうぞ。

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カテゴリー ZAYN

Rocket – Beyoncé 和訳と紹介

Beyonceの放つセクシーすぎるソウルバラード。6/8のグルーヴとコーラスワークが連想させるのは…

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「あなたのロケットと私の滝。溢れるまで。」

サウンドについて
このビート、このコーラスワーク、このグルーヴ、このメロディ、、、どこかで聞いたことがないだろうか。そう、 Beyoncé 本人も公言しているように、この曲は D’angelo “Untitled (How Does It Feel) “ に強い影響を受けている同曲の記事はこちら)。肌を露出したセクシャルなMVまで被せてくるほど徹底したオマージュにリスペクトを感じる。D’angelo の楽曲はポップスとは言いがたいが、 Beyoncé は彼のフィーリングを完璧にポップスに落とし込んだ。これはとても偉大な業績だ。

歌詞について
歌詞はあまりにもセクシーすぎる。もはや官能小説並みの艶やかな歌詞は読んでいるだけで落ち着かなくなってくる。これだけの歌詞を歌い上げる Beyoncé はやはり色気を感じる。

それでは和訳をどうぞ。

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