Like a Star – Corinne-bailey-rae 和訳と紹介

Corinne Bailey Rae 切なさと困惑を感じるラブソング。

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「あなたは夜空を横切る流れ星のよう」

サウンドについて
どうしてこんなに悲しいサウンドなんだろう。切なさにしては暗すぎる。重たすぎるベースの音色、マイナーキーのコード進行、感情のこもった歌声、、。アコギ、ストリングス、コーラス、アコギ単音、オルガン、、とサウンドが次々入れ替わり、静かなバースを挟んでから、最後に大きく盛り上がるのがとてもいい。

歌詞について
「切なさ」というより「困惑」の方が近いのかもしれない。「あなたとだけ喧嘩してしまう」「あなたにだけ心を許してしまう」ことの理由がわからないと歌い、最も静かなバースで、その理由がわかったと歌い上げる。愛しているとはハッキリ言葉にしないが。初めと終わりで歌われる歌詞も気に入っている。愛しい人を例える中で、「夜空の流れ星」「本の中の天使」「心に流れる歌」に並べて「手にこびりついた油」が入っている。ファンタジーのような言葉に続けて、①現実的な言葉 ②洗っても取れない ③汚い≒素敵なだけじゃない、そんな言葉が出てくるところが面白い。自分の感情に対して、すぐに「恋」という周りから得た正解に飛びつかずに、自分の価値観で向き合ったからこそ出てくる言葉だろう。しかし、コリーヌは恋愛感情にマイナスのイメージを持っているのだろうか?

それでは和訳をどうぞ。

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September – Kirk Franklin 和訳と紹介

Kirk FranklinがEarth,Wind,And Fire の名曲をゴルペルカヴァー

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「辛い季節でも “セプテンバー” を思い出してほしい」

サウンドについて
Earth,Wind,And Fireの名曲をカヴァー。ちゃっかりサンプリングもしている。ゴスペルサウンドが良いのはもちろんだが、1,2番のサビのアレンジに注目したい。サビの直前、男声のメロに女声のコーラスが加わり、管楽器のオブリまで入り、素晴らしい盛り上がりを見せるが、直後のサビの音は薄い。メロは女声の単音、ギターの高音の16分刻みは消えて、ストリングスと丸い音色のシンセによって引き伸ばされたような印象のサウンドが堪らなくお洒落だ。

歌詞について
サウンドだけでなく、歌詞もゴスペルアレンジされている。曲中で使われる “セプテンバー” は「喜びの季節」のメタファーであり、二つの使い方がなされている。一つは必ず巡ってくる季節として。もう一つは過去の救われた瞬間として。未来と過去、衝突しそうな使われ方だが、一つの言葉に複数の意味を持たせて重なる曖昧な部分を伝えることは詩のテクニックの一つだ。

それでは和訳をどうぞ。

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Lean On Me – Kirk Franklin 和訳と紹介

多くの有名シンガーが参加したKirk Franklinの名曲。

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「私が側にいる。頼っていいんだよ。」

サウンドについて
“We Are The World”のような楽曲だ。様々なミュージシャンが集まって歌うバラード。”We Are The World” と違ってBメロなどで進行が大きく変わることがないので、胸になじみやすい曲構成だと思う。リードシンガーの声を引き立たせるためか、コーラスはリバーブが特に深くかけられて、ずっと後ろに引っ込んで聞こえるが、大サビでのコーラス隊は圧巻だ。

歌詞について
やはり”We Are The World”のように、大きなテーマの社会問題を歌っている。Aメロでは苦しみを抱えた男性・女性・子供を客観的に描写することで、心に訴えかけるような問題提起になっている。サビとCメロで上手にメッセージを伝えられるように組み立てられているとも言えるだろう。

それでは和訳をどうぞ。

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Call Me Maybe – Carly Rae Jepsen 和訳と紹介

Carly Rae Jepsenの言わずと知れた大ヒットポップソング。エレクトロ系ポップスなのにアレンジの主体がストリングス。

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「会ったばかりでおかしいかしら。よかったら電話して。」

サウンドについて
雰囲気は流行しているエレクトロ系ポップスそのものだが、イントロからストリングスが目立っている。というより、サビまでほとんどストリングスとビートだけだ。このジャンルで伴奏の中心がストリングスになっている曲はあまり聞かない。サビのメロディは小節の頭で一拍から二拍ポケットを作ることで軽快なノリを作り出している。ポケットを埋めるストリングスも印象的だ。

歌詞について
一目惚れと大胆な行動が描かれている。実際に一目惚れして、電話番号を渡すなんてことは滅多にない(?)。物語の中には、それ全体で一つの物事の比喩であるものが存在する。この曲では恋という抽象的な感情を具体的な描写に落とし込み、リスナーは具体的な描写から抽象的な恋の感情を受け取るだろう。表面以外を伝えるのは文章だけでは難しいが、それを容易にするのが音楽の持つ力だ。

それでは和訳をどうぞ。

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Stop Where You Are – Corinne Bailey Rae 和訳と紹介

Corinne Bailey Rae、アコースティックなバースと歪ませた壮大なサビを持つポップス。→Taylor Swiftを思い出させる。

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「あなたの周りの全てが輝いているの」

サウンドについて
シンプルな曲から凝った曲まで、質の高いポップスを作り続けている Corinne Bailey Rae 。アコースティックギターと歌から始まるこの曲は、AメロからBメロにかけてピアノやオルガンなど最小限の楽器しか使われていない。それがバンドがインして盛り上がるサビを引き立てている。この曲の放つ強烈な王道ポップス感はサビのメロディの構成にあると思う。(音型A)+(音型A)+(音型B+音型B)+(解決するメロディ)という構成は多少変化はあるが、 Avril Lavigne から Taylor Swift までポップスシンガーが使いこなしてきた構成だ。

歌詞について
ポップスには「頑張ろう」みたいなメッセージの歌が多いが、 Corinne Bailey Rae が歌うメッセージは “Put Your Records On” の頃から変わらず、ラフに生きることを歌っている。言葉や比喩のチョイス、歌詞中で述べている出来ることや出来ないことのスケール感が説得力を生み出している。

それでは和訳をどうぞ。

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Put Your Records On – Corinne Bailey Rae 和訳と紹介

Corinne Bailey Raeのヒット曲。ルーツにどこかジャズを感じるポップス。

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「あなたの好きな曲をかけて。リラックスしてね。無理する必要はないわ。」

サウンドについて
清々しいくらいにポップスだ。Norah Jonesをポップスに寄せた感じというとわかりやすいだろうか。アコースティックギターのイントロから始まるこの曲、コードも Ⅰ – Ⅱ – Ⅳ のキャッチーな明るい進行だ。Bメロでは少し切ない響きのお洒落な展開が見られる。

歌詞について
自分らしくあること、頑張りすぎないことなどを歌っている。曲中に用いられる名詞に注目したい。三羽の小鳥、シナモンのような夏、サファイアと色褪せたジーンズ。どれもラフさを感じさせるワードだ。曲調にもマッチしていて、 “リラックスして” というメッセージがスッと胸に飛び込んでくる。

それでは和訳をどうぞ。

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Fly Me To The Moon – Frank Sinatra 和訳と紹介

Fly Me To The Moon、超有名なラブソング&ジャズ・スタンダード。

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「私を月に連れて行って。愛してるって意味よ。」

サウンドについて
最も有名なジャズ・スタンダードといえば、この曲か枯葉だろう。全然知らない人にとっても想像通りのジャズだろう。とても良いのだが、この曲はやはり女性ボーカルで聞きたい気持ちもある。

歌詞について
詩とは、たった一行を伝えるために何行もの言葉が使われる。抽象的な気持ちを伝えるために具体的な表現を積み重ねていくのだ。 “愛している” と伝えずに “私を月に連れて行って。星々の中で遊ばせて。” と伝えるように。しかし、この曲ではじれったくなってしまったのかのように “別の言葉でいうと、、、” と、詩を放棄してしまう。そこに本当に伝えたいという気持ちが表れていているようで素晴らしい詩だ。原曲が女性ボーカルであること、女性的な詩であることから、女性目線で和訳した。

それでは和訳をどうぞ。

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Been To The Moon – Corinne Bailey Rae 和訳と紹介

Corinne Bailey Raeの寂しさを感じるクールなラブソング。

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「月に行ったことがあるわ。あなたのために。」

サウンドについて
2016年初頭にコリーヌ・ベイリー・レイが満を持して発表した楽曲。Aメロは殆どビートとストリングスだけという攻めたアレンジ。ストリングスは単純ではない和音で、もたり気味で演奏されているため、強い緊張感を生み出している。サビは対照的にシンプルなマイナーのコード進行とキラキラしたサウンドで、サビに入った瞬間の開放感が素晴らしい。

歌詞について
Fly Me To The Moonというジャズ・スタンダードがある(歌詞はこちら)。 “私を月に連れて行って。言い換えると「愛してる」って意味だよ” という歌詞の曲だ。 “I’ve been to the moon (=月に行ったことがある) ” という言葉は言い換えるなら “あなたに愛されていたことがある” というのが近いだろうか。こういった古い名曲の引用はコリーヌのルーツの深さを証明している。

それでは和訳をどうぞ。

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One Mo’ Gin – D’angelo 和訳と紹介

D’angeloの2nd “Voodoo” のグルーヴで、1st “Brown Sugar” のようなポップなサウンド。

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もう一度お前に会いたい。ジンをもう一杯くれ。」

サウンドについて
久しぶりにこの曲をYouTubeで聞いたとき、 “Brown Sugar” に収録されていると勘違いしてしまった。 グルーヴに違和感を感じ、 “Voodoo” に収録されていたことを思い出す。“One Mo’ Gin”“Brown Sugar” のジャジーさ、キャッチーさを引き継いだ楽曲ださらに “Voodoo” のグルーヴが加わったこの楽曲を好きな人が多いのも納得がいく。

歌詞について
切ないラブソング。別れた恋人を思い出しながらお酒を飲んでいる歌詞だ。3バース目の三行目 “I hope you know that you could call me, girl, when things change ” というフレーズが最高に切ない。サビの終わりを “One Mo’ Gin (=ジンをもう一杯)” で締めるところが渋くてかっこいい。

それでは和訳をどうぞ。

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Lovin’ You – Minnie Riperton 和訳と紹介

Minnie Ripertonの超絶ハイトーンヴォーカル。美しすぎるバラード。

 

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「あなたを愛してから私の人生は輝いた。」

サウンドについて
1974年にリリースされてから多くのミュージシャンにカヴァーされ続けている “Lovin’ You” 。クラシック・ギターとエレクトリック・ピアノのシンプルな伴奏に乗せるのは独特なクッキリした声質で歌われる美しすぎるメロディ。メロディの最後に解決する音階を用いていないため、少し不安定な響きがお洒落。サビ終わりのハイトーンボイスは必聴だ。

歌詞について
歌詞は甘すぎるラブソングだ。ここで解説する必要もないほど単純な愛の言葉が連続している。月並みで退屈な言葉ともとれるが、この美しいメロディと合わさると純粋さが強く響いてくる。歌詞はこれぐらいシンプルでいいのかもしれない。

それでは和訳をどうぞ。

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